シーリング材って何なの？メーカーが教えてくれました！

戸建て住宅の外壁は１枚の大きな板が張り付けられているように見えますが、実のところいくつかに分割した外壁材が縦横に少し隙間を設けて張り付けられています。この設けられている隙間のことを「目地(めじ)」と呼びます。この目地や窓のサッシ廻りにはゴム性質の材料が埋め込まれていて、この材料がシーリング材と呼ばれるものです。

このシーリング材は外壁塗装の見積り書の中に記載されているもので、「打ち替え」「増し打ち」といった名称の項目で存在していることが多いです。

ただ、そこまで詳しく説明をしてくれる業者も少なければ、着目されるお客様も少ないのであまり知らない方も多いのではないでしょうか？

今回はシーリング材メーカーであるサンライズさんが来社されましたので、シーリング材について詳しく教えてもらいました！

シーリング材の役割と種類

シーリング材の役割

シーリング材は住宅を守る２つの役割を担っています。

別の記事でも取り上げていますが、シーリング材は一次防水としての重要な役割と割れやひび割れを防止するための緩衝材としての役割があります。

建築用シーリング材は種類が豊富にあり、用途も多種多様です。住宅の耐久性・快適性を守るうえでも、お客様のライフサイクルに見合ったシーリング材を選ぶことが大切です。

シーリング材の種類

近頃は、一般戸建て住宅の外壁材としてサイディングを採用する割合が高まっていて、そのシーリング材には耐候性と耐熱性等に優れる変成シリコーン系シーリング材が最も多く用いられています。汎用性が高く、幅広い条件にバランスよくマッチしていることから、変成シリコーン系シーリングを指定しているハウスメーカーも数多くいるようです。

戸建て住宅用１成分系シーリング材の代表的な種類と一般的な特徴

種　類	塗装適合性	表面耐候性	耐　熱　性	動的追従性
変成シリコーン系	〇	〇	〇	〇～△
シリコーン系	×	◎	◎	◎～△
ポリサルファイド系	◎～〇	〇	〇	△
ポリウレタン系	◎～〇	〇～△	△	〇～△

住宅でシーリングを打設する箇所

外壁の板間や出隅、入隅

外観を決定づける顔を冠する部分であり、意匠性への配慮と長期に渡って快適な生活を守る必要がある

窓まわり

通風・防犯・防音など生活の重要な機能にかかわる箇所で、見えにくいですが重要なポイント

玄関まわり

ドアからアプローチまで毎日使うだけに、目に見える箇所の意匠性にしっかりとした配慮が必要

屋根の軒や破風

雨や日射から家を守る屋根は、天候被害を直接受けるために劣化が早く、修繕優先度が非常に高い

ベランダの笠木

外観の美しさに加えて、雨風に晒される場所でもあるので防水機能の完備が重要なポイント

シーリング材は劣化してしまうもの

外壁は気温や温度の変化によって毎日伸縮膨張を繰り返しています。その影響によってシーリング材は少しずつ劣化し、ひび割れや剥がれ等の不具合が発生し、防水性や気密性が失われる要因となり、雨漏りなどのトラブルを引き起こす可能性があります。

一見するとわずかなひび割れや剥がれですが、この不具合が原因となって建物内部へ損傷を与えてしまう可能性が十分にあります。そのためにシーリング材は目立たない部分ですが安心安全な生活を送るうえで欠かせない重要なものと言えます。

シーリング材の不具合例

ＰＯＩＮＴ≫　シーリング材の耐久年数・寿命について

使用量、使用部位、施工者、施工後の条件、地域性・環境、シーリング材の種類等によって違いはありますが、新築戸建て等一般的に外壁用として使用されているシーリング材の寿命は５～１０年程度であるものがほとんどです。

最近では高耐候性のサイディングや塗料に対応するために、長寿命（メンテナンスサイクルを長くすることができる）の高耐候シーリング材が使用される場面も増加傾向にあります。特に新築ではなく、リフォームの分野において多く使用されるようになっています。

例えば、サンライズ株式会社では「ＳＲシールＨ100」と「ＳＲシール IRODORI」が、オート化学工業株式会社では「オートンイクシード」が高耐久シーリング材となっています。

実際にシーリング材を打ち替えたリフォーム前後の比較

シーリング材を打ち替えることで、防水性・気密性の確保が実現し、さらに塗替えを同時に行うことで外観の意匠性も格段に良くなります。

各シーリング打設箇所の施工後

シーリング打ち替えの施工手順

既存シーリング材の撤去	サイディングとシーリング材の間にカッターを入れ、切り取ります。ＰＯＩＮＴ・サイディングの素地が完全に露出するように残らず既存のシーリング材を取り除きましょう。・三面接着にならないように確認しましょう。
マスキングテープを目地際に沿って貼り、専用のプライマーを塗布	マスキングテープは、目地際に隙間なく浮き上がらないようにしっかりと押し付けて貼ります。専用のプライマーの塗り残しや塗布不足は、シーリング材の剥離の原因となるので塗布ムラがないようにしっかりと塗りましょう。ＰＯＩＮＴ・シーリング材が薄膜にならないように目地際にしっかり貼ります。・プライマー塗布後は３０～６０分乾燥させ、塗布後８時間以内にシーリング材を充填しましょう。 ※当日中にシーリング材を充填できなかった場合は塗り直しが必要です。
シーリング材を充填	空気が入らないようにしっかりと打設します。空気が残っていると施工後に不具合を引き起こす可能性があります。ＰＯＩＮＴ・厚み1ｍｍ以下(金属サイディング等で存在する薄い層)でシーリング材を打設すると白化や軟化などの不具合が発生する可能性があります。　シーリング材は厚みが重要です。
ヘラで押さえ、表面をきれいに仕上げ、マスキングテープを剥がす	ヘラで押さえることによって目地の内部隅々までシーリング材が充填され、空気も抜くことができます。その後、意匠性を良くするためにヘラで表面を綺麗に仕上げます。ヘラで仕上げた後、なるべく間を置かずに上から下へ向かってマスキングテープを剥がします。ＰＯＩＮＴ・施工部位以外の外壁や雨樋・換気フードなどの付帯部を汚さないように棒状のものに巻き付けて剥がしていくときれいに剥がれます。